とらとらでひとりいぐも

TigerBalm's diary   ぼぉっと生きてる第2種兼業主婦の独り言

太郎が恋をする頃までには…

太郎が恋をする頃までには…

(ネタばれあり)
フジテレビプロデューサーの栗原美和子(結構有名な人らしいが私は知らなかった)が42歳で被差別部落出身の猿回し師村崎太郎(この人は知ってた、でも歌を出してたのは知らなかった)と結婚した話を、本人が私小説として書いた本。


表紙の写真もそのまんまなので、てっきりノンフィクションっぽいものかと思ったら、名前も設定もちょっとずつ違うフィクションだった。亜細亜テレビの五十嵐今日子と海地ハジメの物語になってるんだけどね、正直読むのが苦痛で、惰性で読んだ。


たぶん、もうちょっと小説の上手な人が、書いたらもっときちんと読める本だっったんだと思う。もしくは、ノンフィクションで素朴に書けばもっとよかったんじゃないかな。


小説にするための客観的?な描写がほぼすべていただけないというか、平たく言うと鼻について感情移入を妨げてしまう。なんかおじさん作家が書いてるラブシーンみたいで、うわ滑りしてしまって。。。きっと本人達はすごくいろんな感情を乗り越えてたくさん恋愛したということを伝えたいんだろうけど・・・文章って難しいんだなぁ、やっぱり。


しかもラストは離婚するんだけど、実際の2人は別れているわけではない。そこを違えた目的もメッセージもよくわからない。


というわけで、いまいち。私自身は小学校と高校で同和教育が活発だったのでそれなりに知識もあり、そのことについて考えたり聞いたりしていたので、その域を出ないものだった(というか、そういう教育が普通なんだと思っていた。どうも違うみたいで、全く知らない人がこの本を読むと、「衝撃的でした」みたいな感想になるのかな、と思う)。


今日子のお父さんのキャラクターは良かったと思う。けど、若いアナウンサーとか、専業主婦で子供を育てている妹に対する毒っぽい記述は、まぁ女性らしくてよくわかるけども、読んでていい感じではなかった。


また幻冬舎にやられてしまった。。。差別で苦しんでいる人はいる。せっかくだから、もっと本当に「当事者の手で伝える」強い本にしてほしかったな、と思う。