とらとらでひとりいぐも

TigerBalm's diary   ぼぉっと生きてる第2種兼業主婦の独り言

#15 脳死について

人魚の眠る家

人魚の眠る家

東野さんらしい、夢の技術の話も織り込みつつ、脳死と子供の臓器移植を扱った作品。
脳死判定について日本で定まったのはずいぶん前のような気がするけど、自分はなんとなく”人は脳死を経て心臓死に至る”のだと思っていた。でもそうではない。臓器提供します、といって初めて判定が行われ、判定が終了した時点が法律的な死亡時刻となる。人の一生の終わり”時点”が、二重基準になっているような感じ。
かといって、外国のように脳死=死であり臓器提供しない人にはその時点で延命措置が停止される、というのを日本で全て適用するのはやっぱり無理だとも思う。火葬は受け入れるのに、脳死は認めないというのも変な気がするけど、日本人として育ってしまってるからなんとも。。。だから、物語の中の薫子は、極端に振れているようだけど、考えてみれば、母親として普通に当たり前の思いを全部行動に表しているだけだとも思った。
表紙がとても綺麗なのと、冒頭とラストのエピソードで暗さが薄らぐ作品だけど、テーマは重い、個人的には苦手分野だった。ただ離婚を決めていた(けど続けることにする)夫婦、きょうだいや親戚、といった家族の心情についても、丁寧に描かれていて、バランスの良い東野作品だったと思います。