とらとらでひとりいぐも

TigerBalm's diary   ぼぉっと生きてる第2種兼業主婦の独り言

#22,23一所懸命

一路(上) (中公文庫)

一路(上) (中公文庫)

一路(下) (中公文庫)

一路(下) (中公文庫)

面白かった。何度も声を出して笑ってしまった。地理も歴史も苦手な関西人なので中山道と言われてもピンとこないのが残念と思いつつ、それでも楽しく読めました。
主人公は一路であるが、うつけの殿様、蒔坂左京大夫のキャラが最高。馬も含めてそれぞれの「心の声」が面白くて、読みながらどんどん楽しくなってしまった。浅田さんさすがうまーい。
太平の世のお殿様って、神秘な存在で、色々不自由なんである。簡単に褒めてもけなしてもいけない、思うことを軽々に言うわけにもいかない、うつけと言われるくらいが丁度良いと、最後までそれを通しちゃうのね。
一路がスーパーヒーローかと思うとそうでもなく、勘十郎なんかもいいキャラだった。
テーマは「一所懸命」。軽くてふざけてて笑えるけど、武士の矜持も(ときどき)かっこよく。

悪役はわかりやすく悪役、芝居がかったシーンは胸のすく描かれ方で、これは映画やドラマにぴったりねと思ったら、NHKで5月から永山くんでドラマやってたのか*1、見逃してた。本とはまた細部が違うストーリーになってるみたいだから、残り何回かだけでも見てみようかな。
あとがきで檀ふみが書いていたけど、文中引用される「行軍録」は浅田さんの全くの創作なんだそうだ。漢字だらけの古文書、頭のいいおふざけ。最後の方に出てくる、浅次郎だけちょっとご都合主義というか(そもそも名前がw)、もう少し深く描いてからお仕事させてほしかったけど、ま、いいか。
あと、表紙も良いです(*^^*)読後に眺めて楽しめます。

*1:BS時代劇を再編集して5月から土曜時代劇で放送してたみたい