☆☆☆☆☆

- 作者: 門井慶喜
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2017/09/13
- メディア: 単行本
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何を書いてもネタバレになりそうで、書くことがないような…
何も事前に仕入れずに読むのがおススメ。
(以下ネタバレ)
宮沢賢治の父、政次郎の視点で書かれたお話。正直宮沢賢治に特に思い入れがあるわけではないけど、ほんとにこんな感じだったんじゃないかと思えてくる。
主役はお父さん。明治の男の枠にとらわれながら、親子愛がだだ漏れw 厳しく、冷静かつユーモラス。でもとにかく、賢い長女にも長男にも先立たれるのだから、めちゃくちゃ辛い。
門井さん、初めて読んだ(1971年生まれ、同世代ね)。文章のリズム、場面作りが上手い。トシが喜助にあてた文章のくだりとか、風の又三郎のあたまの部分とか(まぁそれはトシや賢さんの元ネタがすごい訳だけど)。
賢治がトシを見送る場面、おばちゃんの頭ん中では、合唱曲が鮮やかに鳴ったわ*1。あめゆじゅとてちてけんじや*2。
食事の仕方も変わり、孫に囲まれるラストは好きだ、泣けた。
原田マハの たゆたえども沈まず で、語り手越しにゴッホを見た感じにも似ている、あれも良かった。。。ただし、あれはひたすらゴッホが哀れだった。本作の賢さんは家族に愛されちゃんと感謝もしているから短くても幸せな一生と言えるかと。仏教という強い信仰もあったし。
愛と反抗と、ちょっと遊びも混ぜて、人生は哀しく、人間くさく、清らか。
今年のベスト3には入ると思う。好き。