とらとらでひとりいぐも

TigerBalm's diary   ぼぉっと生きてる第2種兼業主婦の独り言

#38 だめだった

又吉先生の二作目。小説として良くないかどうかじゃなくて、この恋愛が好きになれなかった。好きじゃなくても惹かれる物語もあるけど、そういうのでもなかった。

出会いや、初デートのやりとりは、悪くない。
ずるずると長くいる割に、負担が沙希ばかりのっかかってるのが無理。なにがしたいん?としか。*1沙希自身も共依存しちゃって病んでるし、不健康でしんどい。

いや、もちろん永田君のいいところ、個性がないわけじゃない、わかります。でもそれが描けてない、”又吉先生の思う永田君”を読んでるこっちが怖々お察ししないといけない感じがするの。文章や行間から飛び込んでこない、じわじわも来なかったなぁ。

男は一方的でわがままで、女性は手料理がうまくて母性があって…そんな身勝手さばっかり目につくんだな。*2

永田と青山のやりとりの方が恋愛書簡のようで(罵りあってんだけどね)、まだ良かった。

終盤のアパートのシーンもおばちゃんはいらっとする。若かったら泣けるのかなぁ(T∇T) とも思う、ネガティブですみません。

恋愛は始めるのは意外と簡単で(楽しいけど)、続けるのはまあまあ大変で(かなり楽しいけど)、ちゃんと終わるのが一番大変なんだろうね(これは楽しくない)。相手にとって自分が唯一、自分にとって相手の代わりはいないと思っているところからどう旅立てるのか。きちんと向き合って話つけられるのがオトナ、ただうやむやにしたり傷つけあって終わるだけなのはまだコドモかな。。。読後感はそんな感じ。

「火花」*3で、さすがお笑い芸人のことを生き生き書かれてたのと違って、タイトルの割に演劇のことがそんなにこなかったのも物足りなさかな。あ…装丁は好きです、「劇場」って感じです。

劇場

劇場

*1:「火花」に出てくる漫才師の彼女もこんな感じであまり好きじゃなかった。作者の自伝なのか理想なのか…?

*2:別にだめ男、くず男の話がキライってわけじゃないんだけどな…紙の月の大学生なんて超悪い奴やけど、どこか憎めないところもあるわけで。疫病神の男達も大好きやし。何かを生んでるか、生んでないか、人に与えるものがあるかないか、そういうのがおばちゃんのツボなのかな。

*3:ラストは好きじゃないけど、