とらとらでひとりいぐも

TigerBalm's diary   ぼぉっと生きてる第2種兼業主婦の独り言

やっと

喪服を畳んで箪笥にしまったところ。


(不祝儀の話なんで、スルーしてもらっておっけです、長いし。)
(ただの独り言と思って下さいませ m(._.)m) 




義母が亡くなった。


急変を聞いて駆けつけたら、もう心臓マッサージを受けていた。
一度は脈が戻ったのだが、結局還らぬ人となった。


長男が、見舞い用に準備していた、
庭に出来たみかんと手紙を入れた袋を提げたまま、
ベッドの脇で黙って泣いていた。


病室を出され、私たち家族4人、実感なくぼうっと待っていた。


臨終を告げられても、人工呼吸器によって、胸は上下に動いていた。
死んだ なんて思えない。


「まぁ、
 ずっと意識がなかったから、
 心臓が動いてるか止まったか、の違いで、
 本人にとっては、
 どうだったんだろうねぇ。」


というようなことを、夫がぽつりと言った。


そうね、
確かに、
意識が無くなってから3ヶ月、
私たちはずっと眠っている義母しか見ていなかったから。


夫は33歳にして喪主になり、
私は喪主の妻になった。



                                                                                            • -

『おむかえは、



どうされますか?」と看護師さんに聞かれた。
寝台車を手配しなければならない。


職場の組合と提携している、
大手の葬儀社に頼むことにした。


夫の姉が来たので、とりあえず私と子ども達は先に帰った。


連絡を聞いた母が駆けつけてくれて、
家の片付けや掃除に追われた。


まったく覚悟していなかった訳ではないが、
いざとなると何がなんだかわからない。


お寺にも連絡しなくては。


しばらくして、義母が家に帰ってきた。
1年前に入院して、結局こんな形で帰ってくることになってしまった。


リハビリしたら、
階段に手すりをつけなくてはね、と見積もりしたのになぁ、とか
そんなことを思う。


葉っぱを水につけて、口を湿してやるのだそうだ。
これを末期の水というらしい。


8月の半ばから、
食物はおろか、一滴の水も口にすることができなかった義母。
水をつけると、泣けてきた。



                                                                                              • -

私は、



義母が嫌いだった。


母親一人にはできないという事情もあり、
結婚と同時に同居生活を始めたのが8年ちょっと前。


友達からは「一番(同居)と遠いタイプと思ってた。」と言われた。
私だってそう思ってたよ。


結婚当初は、周りが驚く程、仲の良い嫁姑だった。
しかし、出産した頃から色々複雑になってきた。


ほんとに、なんでこんなに人のことを嫌いになれるんだろう、
と思うくらいだった。


けど、なんだかんだいって、
息子より、娘より、
何倍も、話をし、
気にかけ、
身の回りのことをし、
笑ったり、泣いたり、怒ったりしてきた。


嫌だ嫌だと思いながら、
やっぱり放っておけなくて、
関わりあってきたのは、
私も義母もきっとお互い様だったんだろうな、と思う。


だから、やっぱり悲しかった。



                                                                                              • -

葬儀屋



というのは、完全分業のようだ。
寝台車の人が帰って、3時間程して営業マンが来た。


この営業マンがかなりイケてなかった。
全体像を示さず、
「人並みに」という遺族の心理を利用して、
なかなかの商売をなさろうとする。


こちらの意見?を言うと、露骨に嫌な顔をするのには参った。


夫も私も、お金がかかっても納得できればいいと思っていた。
逆に、納得できない内容には従えないので、つい反論?してしまうのだ。


家にこもって人づき合いを殆どしなかった義母なので、
弔問客はほとんど私たちの関係になる。
取引先は多いし、ほとんどが中小企業の経営者なので、知らせだすとキリがない。


そういうのやめようね。


だから、香典もお花も一切頂かないことにした。


イケてない営業マンが帰ってから、よくよくパンフレットを見ると
???ということがあり、
結局いくつか変更する羽目になる。


「こういうことをちゃんと説明しろよな。」と笑う夫。
二人で話すとついつい仕事モードになる私たち。
不謹慎かもしれないけれど、
こうやって忙しいのがいいのかもしれないな、と思う。

                                                                                              • -

通夜



祭壇は、女性らしいお花に囲まれ、
笑顔の遺影もよく映えていた。


みかんと手紙は棺に入れた。


長男がしっかりと焼香してくれたのを見て、
ああ、おばあちゃんもきっと喜んでいるだろうな、とじんとした。


親族も思ったより集まり、
まぁそれなりの通夜ができた。


通夜ぶるまいの途中で、
人の話が耳に入らなくなってきた。


寝てないもんな。


昨日は45分くらい寝た。
その前日は、出張帰りに夜中まで病院に居たので2.3時間。
その前も、その前の前も、出張準備やら、ホテルで資料見たりだったし。


遠方から来た義母のきょうだい達が会館に泊まるといい、
近くに住む私たちは一旦家に帰った。


ちょっと休憩して明日の打ち合わせして、
夫はまた会館に行ったが、家で寝てと言われたらしく
戻ってきた。


台所の換気扇の前で、タバコを吸いながら
夫がぐすぐす泣いている。


明日の喪主あいさつを練習しているのだ。
もらい泣きするから逃げた。


10代の終りに父親を亡くし、母親も逝ってしまった夫。




ご好意に甘えてこの日は4時間くらい眠れた。

                                                                                              • -

葬儀



喪主も喪主の妻も、
ちょっと慣れてきた頃に終わる。


練習の甲斐なく、つっかえまくりの喪主あいさつだったが、
私は良かったと思う。


おやま(斎場)は、一面の紅葉で美しかった。


斎場から帰って来て、食事を出し、
骨上げに行った。


下の子は、私の両親と留守番したが、
長男は「行く」と言ってついてきた。


私は子供時分にはじめてお骨上げしたとき恐かった。
気の弱いこの子は大丈夫だろうか?と心配したが、
しっかりとやっていた。


戻って初七日法要をすると、外はまっくらだった。
粗供養や供え物を配って、解散。


後から考えると、ああしとくべきだったな、とか
色々あるけれども、何せ初めてでわからないことだらけだし、
まぁ、まあまあ、だったかな、と思う。


送る気持ち、があればよいだろうと。

                                                                                            • -

といっても、



まだまだやることはあるわけで。


翌日、さすがに起きれずにいると、やっぱり来た。
「近所の者ですが・・・」


お参りくださるのはありがたいが、先に電話をくれ、
・・・なんて訳にいかないものね。
あたふた。


家は片付いてないし、
冷蔵庫の中のものは傷んでるし、
気の緩みで風邪っぽくなってくるし、
大変だわ。


怪しい情報屋みたいなのから電話がかかってきて、
業者が勝手に来て要らんと言うのにカタログを置いていくし。


夫は休めないらしくすぐ仕事に復帰。
私は勝手に1週間休むことに決めて、バイト先に通知済み(苦笑)


病院や、菓子屋さんへ支払いに回り、
役所や金融機関の手続き、


葬儀屋さんの「請求担当」が家に来て、今後の営業をしていく。
この人はかなりまともだった。


やっぱり仕事休んでよかったわ。


っていうか、
昔と違って共働き核家族が多く、
親戚と固まって住んでるわけでもなく、
地域コミュニティーもさしてない昨今、
みんなどうしてるんだろう・・・と思った。

                                                                                              • -

で、



法事の相談、
お墓の相談、
しばらくはいろいろありそうですが、
まぁ、だいぶ見えてきました。


なんでもべんきょう。


長男は、昨日「ぼく、ちょっと眠れなくなる」とボソッと言いました。
夜、「おばあちゃんのことが・・・」と泣いて起きてきました。


まぁ、仕方ないと思います。
心の傷になるからと遠ざけるより、
なんでもべんきょうですから。


今日は七日七日の話をして、
おばあちゃんが仏様になるまで、しっかり供養しようね、というと
うなずいていました。


私も子どもの頃、死ぬということを考えて
度々眠れなかった経験があります。
ゆっくり一緒に乗り越えてゆきたいと思っています。


食べられないということはなかったので、
残念ながらやつれてはおりません(苦笑)


落ち葉を見て、
お茶を飲んで、
郵便局のカウンターで、


ふっと、突然悲しみがこみあげてくるときがあります。


きっと夫はこの何倍もあるのだと思う。




仕事溜まっちゃった。
本も。
片付けなきゃ。