- 作者: 門田隆将
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2012/11/24
- メディア: 単行本
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以前この著者の日航機事故の本「風にそよぐ墓標 -父と息子の日航機墜落事故-」を読んで、淡々とした語り口に誠実さを感じましたが、今回もそのような感じでした。
感想は・・・なんというかもう、戦争、戦場であったのだと。先の大戦で命をかけて戦ったたくさんの人達のおかげでその後の日本があったように、吉田所長はじめ決死であきらめずに戦いつづけた方々のおかげで日本は救われたんだなと思いました。ちょうど今日NHKで福島第一のすぐそばまでカメラが入ってるのを見ましたが、まだまだ続いていくんですね。
当時の現場の判断と行動力がすんでのところで最悪の状態を回避したのだということ、どれだけボロボロで壮絶な現場だったかということ、涙なくして読めないです。知らなあかん、感謝せなあかん、と思いました。
今は病と闘っている吉田さん、頑張ってほしいです。
著者あとがきを読んで、ほんとにそうだなぁと思いました。
(あとがきより抜粋)
私は、これまで多くの太平洋戦争関連の書籍を上梓している。太平洋戦争の主力であり、二百万人を超える戦死者を出した大正生まれの人々を、私は「他人のために生きた世代」と捉え、それと比較して現代の日本人の傾向を「自分のためだけに生きる世代」として、論評してきた。
しかし、今回の不幸な原発事故は、はからずも現代の日本人も、かつての日本人と同様の使命感と責任感を持ち、命を賭けてでも、毅然と物事に対処していくことを教えてくれた。
その意味では、この作品で描かせてもらったのは、原発事故の「悲劇の実態」と共に、最悪の事態に放り込まれた時に日本人が発揮する土壇場の「底力と信念」だったかもしれない。
なぜ彼らは、ここまで踏ん張れたのだろう。
同時代を生きるひとりの人間として、私は取材のあいだ中、そのことを考えつづけた。その答えが、本作品で読者の皆さんに少しでも伝われば、これに過ぐる喜びはない。