
- 作者: 桐野夏生
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2016/08/09
- メディア: 単行本
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一晩で451ページ一気読み。読みやすく愚かしく可笑しくてどんどん進む。
以下ネタバレ有り---
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「週刊現代」の連載だったそうで…なんかいそうなんだよねこういう”おじさん”。
自分はかなりのクラスに属する人間だ。大手一流銀行の出身、出向先では常務の席も見えてきた。実家には二百坪のお屋敷があり、十年来の愛人もいる。
親の介護にはしらんぷりだったのに、遺産問題になると計算高いこと言いだすし、妻も愛人も手放したくなく、むっちり秘書には妄想たくましく、自分の冷たさにも勝手さもそっちのけ、エリートぶって人を見下すし、いつも雄弁、自分中心の理論武装。外見はとりすました一見”ナイスなおじさま”だが一皮むけば社会人として勝った負けた切った張ったやってるうちにまごころを忘れちゃった”どうしようもないおっさん”。男はいつまでも少年といえば聞こえがいいが、単にコドモと大人の悪いとこどり状態。
だけどなんか憎めないのね。女性がそれぞれみんなキツい人達なので、それに振り回されてるのを面白く見てしまう。泥沼におちてく様を「こうはなっちゃーいかんのだな〜」と皆ちょっと背筋寒くなりながら読める面白さがヒットしたのかも。このままだと最後はさびしいぞ〜、みたいなw
桐野先生くらいの歳になるとこういう男の愛おしさがわかるのでしょうか(^.^; 私はないわ〜。某レビューで、自分は初老男性であるという読者の「だが、少なくとも繊細、緻密な人生を送る銀行マンにして、あるいは上場企業の役員になるほどの男がここまで浅はかに女に接するとは思えない。」に同感やわ、やっぱないわ〜w でも面白いよ。長峰さんと田中さんも強烈やし、登場人物の語りのあちこちに妙な「リアル毒」がグサグサくる桐野作品。相変わらず救いもない。タイトルと表紙は素敵ね。
ちなみに

- 作者: 中場利一
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2015/12/08
- メディア: 文庫
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