井上荒野って本名なんだ、ペンネームだと思ってました。なんて名前つけるのよ。さすが変な父親。
その父親がモデルである 「白木」 をめぐる「愛人 みはる」と「妻 笙子」が代わる代わる表れる形式で、さくさく読めます。伝わる読みやすい文章。
これ、作者との背景を知らないと面白いけど、知ってると怖すぎるというか気味が悪いというか…
いやいや逆か…
背景を知らずに読めばよくある不倫バナで面白くもなく、ああだこうだリアルに当てはめるからこそ面白いのか…
どっちなんだ!?と思いつつ。
自伝としか思えない書き方(ま、ある意味自伝なんだろうけど)。
しかも、どう考えても 寂聴、じゃなかった ”みはるの目線”に寄ってる気がして不思議だ。
不思議と言えば、小男で、大嘘つきで、どこにいても声ばかりわあわあと大きい(これが一番おえっとしたwどこにいても偉そうでうるさいおっさんがモテるってちょっと信じられない)、小説はそこまで売れなくて、女にだらしない この白木 をなんでこんなに美化できんのかと。
瀬戸内寂聴って昔も今も好きになれない、声に品がなくてにちゃっとしてるから*1。でもまあ、芸能人やら芸術家やらは、我々一般人とはモノサシが違う人たち*2。寂聴さん本人が書いてれば読まないけど、娘が書いてるから読める。異形の世界を見せてくれる小説として面白かったです。タイトルもいい。
まぁ昭和なんだろうな、こういう(男女関係)のはと思う。昔は娯楽がなかったもの。今は、通信手段もすごいし、ねっとりした想像力をぶっつぶすツールがあり過ぎるほどあるもんな。
ラストシーンは好き。
ちょっといい感じ過ぎる嫌いはあるけど、読後が嫌な本は嫌なのでよきよき👏👏 まぁ人生しんだら終わりやとも、肉体なんて借り物なんだよとも思うし、生きてる間に程よく清く正しく楽しみましょう。